クズ教師だけが知る秘密の放課後vol.1 LJK 水野琴葉18歳バレーボール部 2

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作品紹介

〇〇高等学校・3年C組
放課後の教室。窓から差し込む西日が、机の上に長く伸びていた。
水野琴葉は、掃除当番を終えてカバンをまとめているところだった。167センチの長身を少し前かがみにして、ロッカーの奥からジャージを取り出す。紺色のバレー部のユニフォームはすでに着替えてしまっていたが、髪を結んだままのポニーテールが、まだ部活の名残を残している。
「琴葉ー、まだいる?」
教室のドアが開いて、親友のあかねが顔を出した。あかねは少し小柄で、明るい茶髪を肩のあたりでまとめている。琴葉とは小学校の頃からの付き合いで、今でも放課後に一緒にいることが多い。
「うん。あかねも掃除だったの?」
「違うよ。ちょっと待っててって言われたから来ただけ。ほら、今日の数学のプリント忘れたでしょ?私が持ってきてあげた」
あかねが机の上にプリントをポンと置く。琴葉は少し照れくさそうに微笑んだ。
「ありがとう。助かった」
「当然だよ。琴葉って真面目すぎて、たまに抜けてるところあるから」
二人は並んで教室を出た。廊下はすでに閑散としていて、部活帰りの生徒が時々すれ違う程度だ。
「ねえ、今日の練習どうだった?」あかねが話題を変える。
「普通。……まあ、ちょっとミスが多かったかな。サーブが安定しなくて」
琴葉は正直に答えた。高身長を見込まれて中学からスカウトされ、高校ではバレー部に入った。最初は下手くそだった。それでも真面目に練習を重ねて、3年になる頃にはレギュラー争いに名前が挙がるくらいにはなった。でも、本人はまだ「ギリギリ」だと思っている。
「琴葉は真面目だから、すぐに直すでしょ。私なんか部活なんてやってないから、体力ないよ」
「あかねは勉強の方が得意じゃん」
「それはそうだけどさ。……あ、そういえばさ」
あかねが声を少し落とした。
「今日、滑川先生の授業、ひどくなかった?」
琴葉の表情がわずかに曇る。
「……うん」
滑川隆。社会科の教師で、バレーボール部の顧問。55歳。生徒の間では「あの人」と陰で呼ばれている。授業中に女子生徒の方ばかりを見たり、部活の指導と称して必要以上に近づいてきたりする。直接的な証拠はないが、空気が重い。
「私、隣の席の子が『視線が気持ち悪い』って言ってた。琴葉も注意した方がいいよ。背が高いから目立つし」
「……わかってる」
琴葉は短く答えた。実際、顧問になってから練習中に「フォームを直す」と言って肩や腰に触れてくることが増えた。拒否しづらい空気を作るのが上手い人だった。
「田中くんには言ったの?」
あかねがちらりと聞いてくる。田中は同じクラスで、男子バレー部の控えメンバー。目立つタイプではないが、優しくて、琴葉の話をきちんと聞いてくれる。最近付き合い始めたばかりで、まだ学校ではあまり公にしていない。
「まだ詳しくは。……『顧問がちょっと』くらいしか」
「まあ、無理に言わなくてもいいけど。何かあったらすぐ言えよ」
「うん」
二人は昇降口まで並んで歩いた。靴箱の前で、あかねが突然思い出したように手を叩く。
「あ、そうだ。明日の朝練、琴葉は早いんだっけ?」
「うん。7時から」
「じゃあ、私もちょっと早く来て、一緒に行く?食堂の前で待ってる」
「いいの?ありがとう」
あかねはにかっと笑って、手を振った。
「じゃあね、琴葉。気をつけて帰って」
「うん。あかねも」
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